2025年10月23日放送の【タクシー運転手さん一番うまい店に連れてって】こんな山奥にナゼ！？、秘境の繁盛食堂SPで紹介した、ビーフシチューのお店は『春秋風亭』です。

春秋風亭(チュンチュプウテイ)は、愛知県豊田市御内町の山深いエリアに佇む茶房ギャラリーです。もともと豊田市室町で簾屋を営んでいたオーナーの古茂田計宏さん・恵子さんが、香嵐渓から車で20分ほどの森の中に、5年もの歳月をかけて自ら木を切り、土を掘り起こして建てた特別な場所となっています。

店主が80歳を超えても独学で料理やピアノを学び続け、自ら手作りしたテーブルや調度品が配された店内は、まるで友人の別荘を訪れたような心地よさに満ちています。

このお店の最大の魅力は、店主のこだわりが隅々まで行き届いた空間づくりにあります。店内中央には80年ものの貴重な赤いピアノが置かれており、運が良ければ店主自らの演奏を聴くことができます。
アンティークの調度品や間接照明が配され、レトロモダンな雰囲気が広がる店内では、ノリタケの食器やハンドメイドのカップでコーヒーが供されます。

門をくぐって中庭を抜け、靴を脱いで上がる玄関からは、まるで時間の感覚が止まったかのような穏やかな空気が流れています。窓の外には緑豊かな森の景色が広がり、ホタルの時期には多くのホタルを見ることができるそうです。

料理は曜日によってメニューが変わるのが特徴で、日曜日と月曜日には洋食系のメニュー、木曜日から土曜日には鰻や魚を使った和食メニューが楽しめます。

洋食メニューで人気なのが牛タンカレーです。厚切りの牛タンが2つも入った贅沢な一品で、カレー自体は鶏と牛の出汁を取りながら3日間じっくり煮込んでいるため、深い旨味が凝縮されています。3日間煮込まれた牛タンは独特のプリッとした食感が和らぎ、ほほ肉のような肉肉しさが増しているのが特徴です。また牛タンのシチューもクラシカルな店の雰囲気にぴったりの盛り付けで人気があり、ほんのり甘めの味わいが楽しめます。

和食メニューで特におすすめなのが天ざる蕎麦です。白色に近い色合いのあっさりした蕎麦を、甘めのつゆでいただきます。特筆すべきは途中で卵黄をつゆに絡めて食べる食べ方で、爽やかさに濃厚な甘みがプラスされ、家でも試したくなる美味しさです。天ぷらは旬の野菜を使用しており、訪れる時期によって内容が変わります。山菜のコシアブラなど珍しい食材の天ぷらも登場し、シャキシャキとした食感と深みのある味わいが蕎麦とよく合います。また手作りのお稲荷さんとお漬物も付いてきて、甘めのお稲荷さんは漬物との相性も抜群です。さらにコーヒーは店主自ら豆を挽いて淹れてくださり、酸味の少ないすっきりとした味わいでゆっくりとした時間を過ごすことができます。月替わりのコーヒーも用意されていて、アイスコーヒーにはコーヒーゼリーが付いており、中に入れて食感の変化を楽しめるのも嬉しいポイントです。

吉村崇・平成ノブシコブシ・鈴木福・村上佳菜子