2025年10月23日放送の【東野・岡村の旅猿27】石川県でイルカと泳ごうの旅で紹介した、能登牛と能登豚のハンバーグのお店は『ブロッサム』です。

ブロッサムは、石川県七尾市の和倉温泉街の中心に1983年から店を構える洋食レストランです。

温泉街のメイン通り沿いに建つこのお店は、創業から40年以上にわたって地元の人たちや観光客に親しまれ続けてきました。もともとはこの場所で温泉街のお土産店を営んでいた初代のご夫婦が、旅館内のお土産コーナーの充実に伴い飲食業へと転身したことから、ブロッサムの歴史は始まります。2015年4月には大規模なリニューアルを実施し、現在の広々とした店舗へと生まれ変わりました。

2015年のリニューアルを機に、二代目シェフとして加わったのが息子の黒川恭平さんです。1988年生まれの黒川さんは、幼い頃から厨房で働く両親の姿を見て育ち、保育園の頃にはすでに将来の夢を「コックさん」と決めていました。高校卒業後は調理師専門学校でフランス料理を専攻し、京都の名店「祇園おくむら」やフランスのミシュラン星付きレストラン、大阪の「ラシーム」などで約10年にわたって修業を積みました。北陸新幹線の開通を機に故郷へ戻り、両親が守ってきたブロッサムの味を受け継ぎながら、本格的なフレンチのコースメニューも新たに加えました。黒川さんは若手料理人の日本最大級のコンペティション「RED U-35」において、2018年にSILVER EGG、2019年にBRONZE EGG、そして2023年にはGOLD EGGを受賞するなど、実力を認められています。

ブロッサムならではの特徴は、幅広いニーズに応えられる柔軟なメニュー構成です。昼は気軽に楽しめる洋食を、夜は本格的なフレンチのコース料理をといった具合に、一つの店で異なるスタイルの食事が味わえます。

ブロッサムの看板メニューの一つが能登牛と能登豚の薪焼きハンバーグです。震災後の営業再開に合わせて誕生したこのハンバーグは、粗挽きにした能登牛と能登豚のミンチを一度焼き目を付けてからオーブンでじっくりと火を通し、最後に薪火で香りをまとわせるという手の込んだ調理法で仕上げます。

能登牛は脂肪分の融点が低いため、ジューシーながらさっぱりとした味わいが楽しめます。黒川さんが料理コンテストの決勝でも披露したこの一品には、震災を乗り越えて未来に残すべき料理とは何かを問い続けた末にたどり着いた、料理人としての決意が込められています。

もう一つ見逃せないのがカニクリームコロッケです。さっくりとした軽やかな衣の中には、カニの風味が凝縮されたクリームがふわりと溶けるように広がります。このなめらかな食感を生み出すため、カニクリームを一度冷凍してから成形するという工夫が施されています。一口食べれば、丁寧な仕事が伝わってくる逸品です。

定番メニューでは上サーロインステーキやエビフライ、豚ヒレカツなどの洋食が並びます。
地元農家から仕入れた20種類以上の野菜を盛り込んだ能登の農園サラダは、目にも鮮やかで地元の恵みを存分に味わえる人気の一品です。ディナータイムには季節ごとに変わるアラカルトメニューも登場し、七尾産のヒラメやアオリイカ、真ダコといった地元の魚介を使った料理が楽しめます。

デザートではパティシエでもある姉が手掛けるバスクチーズケーキが評判です。能登の天然塩とフランス産クリームチーズ、北海道産生クリームを贅沢に使った濃厚な味わいです。
またシフォンケーキは和倉温泉スイーツめぐりの対象商品にもなっており、日替わりで紅茶やその他のフレーバーが登場します。ふわふわの生地とバニラ風味のクリームの組み合わせは、食後のデザートにも午後のカフェタイムにもぴったりです。

東野幸治・岡村隆史・ナインティナイン・蛍原徹