2025年9月2日放送の【ヒューマングルメンタリー オモウマい店】で紹介した、ご超寿94歳店主！肉汁うどんのお店は『ますや』です。

純手打ちうどん ますやは東村山の地で55年愛されるうどん店で、東村山市の久米川辻を曲がってすぐの場所にあります。今年で94歳になる神山マスさんが営むこちらのお店は、武蔵野地域では昔から各家庭でうどんを打つ習慣があり、店もマスさんが母と自宅で作っていたうどんを玉で売り始めたことが始まりという温かい歴史を持っています。おばあちゃんの家に来たかのような懐かしい雰囲気が漂う店内で、割烹着姿のマスさんがあたたかく出迎えてくれ、そんなマスさんの人柄に惚れた近所の仲間たちが手伝いに駆けつけ、協力して店を切り盛りしている姿は多くの人の心を打ちます。

こちらのお店にしかない特徴は、群馬県赤城産１００％の地粉を使用し、分厚い銀杏の木のまな板を使いこなしながら一晩寝かせた生地を手と足でこね伸ばし、創業当時から変わらない薪窯で一気に茹であげてつくるという昔ながらの製法にあります。春菊は、マスさんが家庭菜園で育てたものを使用するなど、食材へのこだわりも格別です。また、常連さんの中には、わざわざ三鷹から毎日通っている人もいるほど愛されており、昭和の雰囲気を残す店内には黒電話や囲炉裏、招き猫が飾られ、まさにタイムスリップしたかのような空間が広がっています。

お店の一番人気は肉汁うどんです。つけ汁は、日高昆布と鰹節、アゴ（トビウオ）で取った少々濃い目で、うどんの風味を邪魔しません。豚肉スライスの入った優しい汁に、太めでコシのある手打ち麺をつけていただくスタイルで、ちょうどいい硬さで箸が進むのが特徴です。麺は冷水でしっかりと締められており、かみしめるほどに小麦の風味が広がります。

カレーうどんは、食べ応えがあるように粗く切ったタマネギに、3種類ブレンドしたカレー粉、隠し味にに梅ジャム・しょうゆベースの自家製あごだしの特製カレースープにうどんと豚バラ肉・にんじん天ぷらをトッピングします。

その他の名物料理として、温かい出汁で楽しむ温かいうどんも人気が高く、優しいお出汁が体に染み渡る逸品です。また、カレーうどんも地元では評判で、個性的な味わいを楽しめます。どのうどんにも天ぷらがサービスで付くのが嬉しいポイントで、春菊、人参、ごぼうなどの野菜天ぷらは日替わりで変わり、塩だけでもおいしくいただけるほど丁寧に揚げられています。卓上には自家製の柚子胡椒が置かれており、柚子のさわやかな香りに箸が止まらないほど美味しく、うどんの味に新たなアクセントを加えてくれます。幼いころに食べた味を忘れられずに通うという常連たちが多いのも納得の、心温まる味わいが楽しめるお店です。

ヒロミ・小峠英二