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創業87年!故郷の中華そば 高山駅「まさごそば」
創業者の坂口時宗さんは、東京のホテル雅叙園東京で中国人から中華そばの作り方を学んだ後、高山へ戻りました。昼は高山市内の料亭「金亀館」で日本料理の修業を積み、夜は屋台で中華そばを提供するという生活を続けていました。寒さの厳しい飛騨高山で温かい一杯は評判となり、やがて店舗を構えることになります。昭和13年にリヤカー屋台からスタートしたこの中華そばが、高山ラーメンの始まりです。
2008年には火事に見舞われ、一時休業を余儀なくされましたが、同年12月には再建され、現在は3代目が創業の味を守り続けています。2019年には「ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版」でミシュランプレートに選ばれ、県外からも多くの人が訪れる人気店となっています。JR高山駅から徒歩約8分という立地も、観光客に親しまれている理由のひとつです。
この店の中華そばは、高山ラーメンの特徴をすべて備えた王道の味わいです。通常のラーメンは丼の中で出汁と醤油だれを合わせてスープを作りますが、高山ラーメンでは寸胴鍋の中で最初から出汁と醤油を一緒に煮込む独特の調理法を用います。これは屋台という限られた空間で素早く提供するために生まれたもので、現在も多くの高山ラーメン店に受け継がれています。
鶏ガラ、魚介、野菜を丁寧に煮込んだスープは、見た目よりもあっさりとした味わいが特徴です。黒っぽい濃い色のスープからは想像できないほど軽やかで、鰹だしの良い香りが広がります。細めの縮れ麺は茹でる前に少しもみほぐされており、もちっとした食感がスープとよく絡みます。具材はチャーシュー、メンマ、白ネギというシンプルな組み合わせで、余計なものがない潔さが光ります。
メニューは中華そばは、大盛り、並、小のサイズとご飯だけという究極のシンプルさです。この潔さこそが、80年以上変わらない味への自信の表れといえるでしょう。寸胴で醤油を一緒に煮込むという独特の作り方により、時間が経つにつれてスープの味が少しずつ濃くなっていくのも高山ラーメンならではの特徴です。
平日でも開店前から行列ができるこの店には、地元の常連客だけでなく全国各地からラーメン好きが集まってきます。店の外には出汁の香りが漂い、待っている間もその香りを楽しめます。こじんまりとした店内は、厨房をコの字型に囲むようにカウンター席、座敷席、テーブル席が配置され、空間が有効に活用されています。
高山では地元の人々が中華そばを「そば」と呼び、年末の年越しそばとして中華そばを食べる家庭もあるほど、暮らしに根づいた食文化となっています。この店の中華そばは、そうした高山の食文化の原点を今に伝える貴重な一杯なのです。
- 1938年創業
- 屋台時代からネギはまな板で切らずに立って切る
- 創業者の「他のことをやると味が疎かになる」という教えから メニューは最低限に
- 毎日お店で作る自家製の細ちぢれ麺
- 「継ぎ足しのスープ」 「豚骨のスープ」「野菜の出汁」 「チャーシューを煮た辛口醤油」4種類の出汁を合わせてスープを作る
- 高山駅から徒歩8分の路地裏
| 住所 | 岐阜県高山市有楽町31-3 |
|---|---|
| 電話 | 0577-32-2327 |
加藤浩次・宇賀神メグ・島崎和歌子・清水ミチコ
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この記事の作者・監修
Activi TV
こんにちは!食べることが大好きなグルメライター・料理愛好家のActivi TVです。料理の世界に魅了され、様々な料理の作り方や味を探求する日々を送っています。各地で出会った料理から、私は常に新しいインスピレーションを受けています。料理は文化であり、人々をつなぎ、温かい気持ちにさせる素晴らしい手段だと信じています。私の記事を通じて、読者の皆さんも新しい味と出会い、楽しい食体験をしていただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします!
