2025年6月29日放送の【路線バスで寄り道の旅】坂本冬美さんがゲストロケで紹介した、あんみつのお店は中目黒『東山こくぼ』です。

中目黒の街角に佇む「小久保商店」は、昭和22年（1947年）創業の老舗和菓子店です。もともとは寒天の製造・卸売業者として始まったという背景があり、その確かな品質と伝統の味は、多くのお墨付きを得ています。中目黒駅からも徒歩圏内というアクセスの良さも魅力の一つです。

小久保商店の最大のこだわりは、何と言っても自家製の寒天です。神津島産の良質な天草を使用し、工房で一晩じっくりと水に戻した後、丁寧に煮詰めて作られます。凝固剤を使わずに自然に固まるのを待つことで生まれる、透明感と程よいコシが特徴です。この寒天の味を最大限に引き出すため、あんこはさらりとしたものを、黒蜜は香りとコクのある黒糖を使用し、甘すぎず飽きのこない絶妙なバランスに仕上げられています。さらに、豆や杏も銅鍋でじっくりと煮込むなど、素材一つひとつに丁寧な仕事が光ります。お店では寒天やあんこ、黒蜜などを別々に購入することもできるため、自分好みにアレンジして楽しむことも可能です。例えば、アイスクリームに寒天と黒蜜をかけるという、オリジナリティあふれる食べ方もおすすめされています。

小久保商店で人気のメニューは、やはり創業以来変わらぬ味を守り続けるあんみつです。中でも「小倉あんみつ」は、上品な甘さの小倉あんと、寒天、黒蜜の調和が絶妙で、多くのファンを魅了しています。寒天本来の味をしっかりと感じられるため、和菓子好きはもちろん、普段あまり和菓子を食べない方にもぜひ味わっていただきたい一品です。

あんみつ以外にも、小久保商店には魅力的な商品がたくさんあります。ぷるぷるとした食感がたまらないくずもちは、別添えのきな粉と黒蜜との相性が抜群で、食べきりやすいカップ入りなのも嬉しいポイントです。また、季節ごとに変わる限定メニューや、寒天だけで作られた「ところてん」や「黒蜜かん」なども人気があります。桜の時期には桜風味のあんみつ、夏には季節のフルーツを使ったあんみつなど、訪れるたびに新しい発見があるのも楽しみの一つです。ちょっとした手土産に最適な「あんみつセット」もあり、可愛らしい紙袋に入った商品は、贈った相手にもきっと喜ばれることでしょう。

徳光和夫・田中律子