2025年11月1日放送の【人生の楽園】〜瀬戸内の花咲く庭園カフェ〜で紹介した、山口・周防大島町のお店は『ガーデンカフェ リバージュ』です

『ガーデンカフェ リバージュ』は、山口県大島郡周防大島町の南側、瀬戸内海を見下ろす高台に佇むカフェレストランです。一級建築士だったご主人の吉田憲治さん(72歳)と奥様の美保さん(67歳)が、終の棲家と喫茶店の両立を夢見て、2015年に土地を入手してから約5年半もの歳月をかけて、夫婦二人で山を切り開き、セルフビルドで作り上げた特別な場所となっています。

広島市出身で山口市で一級建築士として活躍していた憲治さんは、60代になって美保さんと「温暖な土地でカフェを営むこと」を計画し、周防大島への移住を決意しました。土地を購入後、山口市の自宅から往復5時間かけて毎週末島に通い、森の開墾から店舗となる建物の建築、ガーデンの整備まで、できることは自分たちの手でやろうと取り組んできました。
「ここに花壇を作ろう」「小道も作ろう」と力を合わせる日々は、時に思うように進まずぶつかることもあったそうです。そんな中、憲治さんに大腸がんと心臓疾患が見つかります。「夫婦二人のどちらかがいなかったら店は成り立たない」と強く思った憲治さんは、手術を経て1年で復帰し、2019年には周防大島に完全移住。そして2020年6月、念願の『ガーデンカフェ リバージュ』をオープンしました。

このお店の何よりの魅力は、ご夫婦の手で丁寧に作り上げられた庭園と、周防大島でも随一と言われる圧倒的な絶景です。
全席屋外という開放的な空間からは、遮るもののない瀬戸内海の海原と、その奥に連なる四国の山々を一望することができます。
敷地内のガーデンはイギリス式庭園として設計され、宿根草と一年草が絶妙なバランスで植えられ、ジューンベリーや桜、レモン、ユーカリ、もみじなどが季節ごとに異なる表情を見せてくれます。テラス前の巣箱にはシジュウカラが子育てをし、コゲラも訪れる自然豊かな環境で、まさに「海と花による癒し」をコンセプトとした二人のパラダイスです。
2階のバルコニー席は屋根付きで雨天でも利用でき、1階のテラス席もバルコニー下にあるため、激しい風雨でなければ快適に過ごせます。

お店の看板メニューは、予約制の「ランチの玉手箱」です。
Aはスペアリブで、大島産オレンジと蜂蜜、オニオンを合わせた特製ソースが甘やかな余韻を作ります。
Bは高森牛レアステーキ薄切りで、山口県産のブランド牛を贅沢に使い、特製しょうゆソースが香りの層を整えます。
Cは魚貝のオレンジカルトッチョで、紙包み蒸しの湯気にオレンジの香りが立ちのぼり、海の旨みをやさしく閉じ込めます。
いずれも自家製ベーコンのサラダ、パンまたはライス、本日のデザート、お好みのドリンクがセットになった豪華な内容です。

もう一つの人気メニューが自家製燻製ベーコンのカスクートです。
カリッと焼かれたフランスパンに、美保さんが味付けをして敷地内の桜の木のチップで燻製にした厚切りベーコンと新鮮な野菜が挟まれています。
味の決め手となっているのが、周防大島産のみかんとはちみつを煮詰めて作った特製オレンジソースで、ベーコンの旨味とフルーティーなソースが絶妙に調和した一品です。
焼かずにそのまま食べられるほど丁寧に仕上げられた燻製ベーコンの風味が、訪れる人々を魅了しています。

食後には泡立ちまで鮮やかなドラフトコーヒーがよく合います。
特別なマシンで淹れたコーヒーは、きりりと冷えた口当たりが潮の風と響き合い、庭の緑に目をやりながら余白の時間を作ってくれます。

また、周防大島産みかんを絞ったジュースは、爽やかな甘さで特に女性のお客様に喜ばれています。メニューには自然農法で育てられた島の玉ねぎや、ご夫婦が自ら育てたレタスなど、地元産の食材が主に使われており、心を込めた手作りの味わいが堪能できます。

営業は土曜日・日曜日・月曜日・祝祭日で、3月から11月までの期間限定営業となっています。

カフェの利用だけでなく、愛犬と一緒に過ごせるスペースや、夜には明かりの少ない高台で満天の星空を眺められる「くるま旅パーク」も併設されており、カフェの賑わいが去った後には、四国方面から昇る幻想的な日の出を独り占めできるなど、一日を通じて絶景を堪能できます。

菊池桃子・小木逸平