2025年11月4日放送の【news every 】懐かしの味！レトロ喫茶 グルメ探訪で紹介した、オムマキ・ゆであずきのお店は浅草『デンキヤホール』です。

デンキヤホールは、浅草の千束通り商店街に店を構える喫茶店です。1903年に電気器具の修理店として産声を上げたこちらのお店は、今もなお大正から昭和へと続くレトロな雰囲気を大切に守り続けています。現在は2代目の杉平ヨネさん（93）が切り盛りしています。

創業者が日露戦争で兄弟を亡くされたことが大きな転機となり、「女性や子どもでも営むことができる仕事を」との思いから、戦時中に喫茶店へと業態を変えました。「デンキヤホール」という少し不思議な響きの店名は、もとの「電気屋」と、当時流行していた軽飲食店「ミルクホール」を組み合わせて名づけられたものです。現在は三代目の店主と女将が、120年を超える歴史を受け継ぎながら、丁寧に店を切り盛りされています。

店内に足を踏み入れると、アンティークの食器棚や絵画、昔懐かしいゲーム台をテーブルにした席など、昭和の面影が色濃く残っていて心が和みます。こうした雰囲気だけでなく、女将は浅草の歴史や行事についても詳しく、訪れたお客さんとの会話を大切にされています。

デンキヤホールを訪れたら、ぜひ味わっていただきたいのが番組で紹介された名物オムマキです。ソースで炒めた焼きそばを薄く焼いた卵で包み、ケチャップをかけていただく一品で、創業者が大正時代に大阪を旅して着想を得たとされる独自のレシピです。
もちもちとした食感の深蒸し麺が特徴で、卵焼きは昔ながらの薄さに仕上げられています。添えられた七味唐辛子を途中でふりかけると、味わいに変化が生まれて、さらに楽しめます。焼きそばとも卵焼きともつかない、このお店ならではの味は素朴ながらもやみつきになる美味しさです。

そしてもう一つの看板メニューがゆであずきです。江戸時代末期から神社仏閣で親しまれてきた飲み物を、お店で気軽に楽しめるようにしたもので、創業当時から受け継がれています。北海道十勝産の厳選された小豆を三日間かけてじっくりと炊き上げ、自然な甘みを引き出しています。
お汁粉を想像されるお客さんも多いそうですが、こちらは甘さを控えめにし、しつこくならないように仕上げられているのが特徴です。
スプーンで底の小豆をすくって食べると、小豆本来の優しい甘さが口いっぱいに広がり、「ほっとする美味しさ」「身体に染みわたる」と評判を集めています。

このほかにも、ボリューム満点のオムライスや懐かしい味わいのナポリタン、そして肉質にこだわった生姜焼きなど、昔ながらの喫茶店メニューが揃っています。
オムライスも卵を薄く巻く昔ながらのスタイルで、デンキヤホール独特の調理法が受け継がれています。店主自らが素材選びに妥協せず、豚肉や小豆、麺に至るまで吟味されているため、どのメニューも安心していただけます。

ドリンクメニューにはクリームソーダやいちごジュースといったレトロな一杯も並び、若い世代のお客さんにも喜ばれています。

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