【沸騰ワード10】ベネチア　芦田愛菜・岡田将生『イタリア世界遺産旅』のロケ地・お店まとめ

2025年11月21日放送の【沸騰ワード10】芦田愛菜さん・岡田将生さんがロケで紹介した、ベネチア『イタリア世界遺産旅』のロケ地・お店をまとめて紹介します。

Caffè Florian（カフェ・フローリアン）は、イタリア・ヴェネツィアのサン・マルコ広場に1720年から続く、現存するイタリア最古のカフェです。創業者のフロリアーノ・フランチェスコーニ氏の名にちなんで親しまれ、当初は「Alla Venezia Trionfante」（勝利のヴェネツィアへ）という名でした。広場に面したプロクラティエ・ヌオーヴェのアーケードの下で、一度も休まず営業を続けています。

館内はアール・ヌーヴォー様式で、手描きの鏡や金箔のフレスコ画が飾られています。「Sala degli Uomini Illustri」（著名人の間）や「Sala Cinese」（中国の間）など、テーマのある部屋は美術館のようです。創業当時、女性は珍しく入店でき、プレイボーイのジャコモ・カサノヴァも通いました。作家のカルロ・ゴルドーニは、オーナーを喜劇『カフェの店』の主人公リドルフォのモデルにしたと言われています。

19世紀にはオーストリア支配下で「イタリア人のカフェ」として愛国者たちが集まり、独立運動時には病院にもなりました。ヴェネツィアの芸術祭「ビエンナーレ」は、この店の「Sala del Senato」（元老院の間）で着想を得たとされ、現在も現代アートの展覧会を開催しています。広い屋外席では、専属オーケストラの生演奏とスタッフのきめ細やかなサービスが楽しめます。

300年の伝統が息づく職人仕込みの洋菓子と、独自ブレンドのコーヒーが楽しめます。朝食から軽めの夕食まで、あらゆる時間帯に合わせた洗練された食事を提供しています。人気メニューは、サクサクの生地と繊細な味わいのイタリア風クロワッサンカプレーゼ・コルネットです。コーヒー好きには、濃厚なバニラジェラートに熱いエスプレッソをかけるアフォガートがおすすめです。かつての常連客にちなんだ趣向を凝らした朝食セットラ・コラツィオーネ・ディ・カサノヴァも評判です。甘いものだけでなく、伝統的なレシピにインスピレーションを得たラザニアや、とろけるような口当たりのティラミスも用意しています。歴史的な空間で最高の品質とサービスに触れ、「ヴェネツィアの甘い生活」を堪能できます。

1750年創業のグラン・カフェ・ラヴェーナは、ヴェネツィアのサン・マルコ広場に立つ老舗カフェです。時計塔のすぐそば、サン・マルコ寺院を正面に望む最高のロケーションにあります。当初は「レジーナ・ドゥンゲリア（ハンガリーの女王）」、その後「オルソ・コロナート（冠を戴いた熊）」と名乗り、1860年にカルロ・ラヴェーナ氏が経営を引き継いで「ラヴェーナ」となりました。彼は建築や調度品の美しさを守り、魅力を高めました。

このカフェは「音楽家と文人のカフェ」として、多くの芸術家や文化人に愛され、ヴェネツィアの文化の中心地となりました。特に有名な常連客は、1879年から1883年にヴェネツィアに滞在していたリヒャルト・ワーグナーです。彼はほぼ毎日、夕方5時から6時の間にこのカフェを訪れ、オーナーのカルロ・ラヴェーナ氏と語らいました。広場を行き交う人々を眺めながら、お気に入りの席で過ごしたそうです。ワーグナーの義父フランツ・リスト、ルービンシュタイン、ロストロポーヴィチといった音楽家たちもここで過ごしました。店内の18世紀のアンティークな鏡や、ムラーノ島のシャンデリアは、当時の華やかな社交場の雰囲気を伝えています。イタリアの歴史的店舗協会にも名を連ねる、生きた歴史のようなお店です。

カルロ・ラヴェーナは、社会的な地位がありながらも、自ら厨房に立って職人たちに製菓の秘訣を教え、その評判はヨーロッパ中に広まりました。ラヴェーナのメニューの中でも、職人が丁寧に作る自家製ペストリーは特に人気で、香り豊かなカフェ・エスプレッソやきめ細やかな泡のカプチーノと一緒に楽しむのがおすすめです。朝食やおやつの時間に、伝統的なイタリアの味を堪能できます。

甘いもの好きには、イタリアの定番スイーツ、ティラミスがおすすめです。エスプレッソに浸したビスケットと濃厚なマスカルポーネチーズの組み合わせが絶妙です。また、ヴェネツィアを訪れたなら、街の定番カクテル、アペロール・スプリッツもぜひ。サン・マルコ広場の景色を眺めながら、オレンジ色の爽やかなカクテルを味わう時間は、旅の特別な思い出になるでしょう。軽食には、具材がたっぷり挟まれたクラブ・サンドイッチや手作りの自家製ジェラートもおすすめです。歴史ある空間で、贅沢なひとときをお過ごしください。

ヴェネツィアの象徴、ポンテ・デイ・ソスピーリ（ため息橋）は、17世紀初頭にアントニオ・コンティーノによって設計されました。ドゥカーレ宮殿の尋問室と牢獄を結ぶ石橋で、イストリア産の白大理石を使用しています。屋根と壁で覆われた渡り廊下のような構造で、バロック様式が特徴です。

「ため息橋」という名前は、19世紀にジョージ・バイロン卿の詩で有名になりました。囚人が宮殿から牢獄へ連行される際、ヴェネツィアの景色にため息をついたという伝説が由来です。しかし、当時の司法制度は先進的で、囚人のため息はロマンチックなフィクションの要素も持ちます。

今では愛の伝説で知られるため息橋。夕暮れ時にゴンドラで橋の下を通り、キスを交わすと永遠の愛が約束されると言われています。そのため、ゴンドラ遊覧の定番コースで、世界中のカップルで賑わっています。

ポンテ・デイ・ソスピーリはドゥカーレ宮殿の裏手にある橋です。観光客は橋の中を歩けませんが、全景を眺めるには、宮殿の海側の「パーリア橋（Ponte della Paglia）」と、内陸側の「カノニカ橋（Ponte della Canonica）」の二つがおすすめです。パーリア橋はいつも賑わっていますが、カノニカ橋は静かで橋をじっくり観察できます。ため息橋を渡って牢獄を見学するには、ドゥカーレ宮殿のツアーに申し込みましょう。橋の外観には、建設を命じたマリーノ・グリマーニ家の紋章が飾られています。

ムラーノ島にあるガラス工房「Vetreria Venier（ヴェトレリア・ヴェニエール）」は、三世代にわたる情熱が息づく歴史ある工房です。創業者のエンツォ・ラッジャ氏は1938年ヴェネツィア生まれ。1940年、家族と共にムラーノ島へ移住。約11歳から島の有名工房で修行を積み、1975年に念願の工房を設立しました。

「三世代、ただ一つの情熱」を掲げるヴェニエールは、エンツォ氏の精神を息子マリーノ氏、孫ニコラ氏とディミトリ氏が受け継ぎ、発展してきました。マリーノ氏の時代には、芸術性の高い作品を生み出し、1980年代初頭にはヴェネツィアの高級ホテルに滞在する富裕層からも注目されるブランドに。現在、ムラーノ島で最も大きく、品揃え豊富な工房の一つです。2023年には展示ホールを2,500平方メートル以上に拡大。ヴェネツィアらしい優雅な様式に合わせた高速ボートによる送迎サービスも提供しています。

店内では、ムラーノガラスの歴史と伝統が詰まった作品に出会えます。人気なのは、空間を彩るシャンデリア、熟練の技術が光る彫刻、食卓を彩る花瓶やグラスなど。ガラス工房ならではの「ガラスのマスタークラス」では、古代のガラス芸術の技術に触れ、ムラーノガラスの奥深さを知ることができます。

ギャラリーのコレクションの中でも、ユニークな技法が目を引く作品があります。ガラスの塊に無数の泡を閉じ込めたスポンジのような見た目のプーレゴーゾ・ガラス・コレクションは、独特の質感と光の屈折を生み出します。炉の近くで職人が使うグラスを起源とする素朴なデザインのゴティ・デ・フォルナーサは、昔ながらの技法を駆使して作られています。また、お客様からの要望に合わせて制作されるモザイク作品は、古代のモザイク芸術とムラーノガラスの技術を融合させた壮麗な芸術作品です。ヴェニエールは、伝統を守りつつ新しい感性を取り入れた作品づくりで、人々を魅了し続けています。

Cantina Do Spade（カンティーナ・ド・スパーデ）は、水の都ヴェネツィアでも指折りの古い歴史を持つ、温かい空気があふれるオステリアとバカーロです。リアルト橋から歩いてすぐの細い小道に佇むこのお店は、その歴史が1448年にまでさかのぼれるという記録があり、ヴェネツィアで最も古くから営業を続けているタヴェルナ（居酒屋）の一つとして知られています。長年にわたり、この地を訪れる旅人や、魚を扱う商人、地元の住民たちが集う、街の社交場として親しまれてきました。その存在は、お店の周りにある小道や通りの名前にも「Do Spade」と残されているほど、ヴェネツィアの歴史に深く根づいています。

このお店の「Cantina Do Spade」という名前は、「二本の剣」という意味を持っています。その名の由来は、15世紀の終わりに誕生した「酒場の主人たちの同胞団」のシンボルだった、二本の剣の看板にあると言われています。かつて同胞団が近くのサン・マッテオ教会で集まっていたことから、この場所にその看板が掲げられ、お店の名前になったのだそうです。こうした歴史的な背景から、地元の人々は立ち飲みでワインを楽しむ習慣を「ombra（オンブラ：影）」と呼びますが、Cantina Do Spadeはそのようなヴェネツィアならではの食文化、「バカーロ」の伝統を今に伝える、まさに生きた文化遺産のような存在です。

Cantina Do Spadeの大きな魅力の一つは、気軽に楽しめるヴェネツィアの伝統的なおつまみ、「チケッティ」です。パンに具材をのせたり、様々な形に調理されたりするチケッティは、世界最古のストリートフードとも呼ばれており、お店のカウンターには色とりどりのチケッティが並んでいます。もちろん、ゆっくりとテーブルで本格的なお食事を味わうこともできます。特におすすめしたいのは、名物の一つであるBaccalà Mantecato con polenta（干し鱈のムースとポレンタ添え）です。ヴェネツィアの郷土料理の代表格で、干し鱈を丁寧にムース状にし、トウモロコシの粉で作ったポレンタと一緒にいただく一品は、長年の歴史に培われたこのお店の味を堪能できます。

他にも、Cantina Do Spadeではヴェネツィアの豊かな食の恵みを感じられる料理がたくさんあります。特に、Spaghetti al nero di seppia（イカスミのスパゲッティ）やSpaghetti alle vongole（アサリのスパゲッティ）など、海の幸を活かしたプリモ・ピアット（パスタ料理）は観光客にも人気です。また、このお店は旬の食材や季節の伝統を大切にしており、例えば特定の祭り「festa della salute（健康の祭り）」の時期には羊肉がメニューに加わることもあります。さらに、年に2回、春と秋の短い時期にしか漁獲できない、脱皮したばかりの柔らかいカニ*moeche*（モエケ）のフリットなども提供され、季節の移り変わりとともに違った美味しさに出会えるのも嬉しい特徴です。伝統的なレシピを守りつつも、現代的な感性も取り入れたCantina Do Spadeの料理は、訪れる人々にヴェネツィアの食の奥深さを伝えてくれます。

ヴェネツィアのサン・マルコ広場にそびえ立つドゥカーレ宮殿は、水の都のシンボルです。7世紀末から18世紀末まで栄えたヴェネツィア共和国の総督（ドージェ）の公邸であり、政治の中心地でもありました。宮殿、政庁、裁判所、刑務所といった機能を一つに集めていた歴史があります。最初の建物は9世紀頃に建てられましたが、火災により14世紀から15世紀にかけて改築され、現在のヴェネツィア・ゴシック建築の傑作となりました。優雅なアーチとイスラム建築の影響を受けた装飾が特徴です。

ドゥカーレ宮殿の魅力は、光と影、豪華さと厳格さが共存している点にあります。国政の議論が行われた広間や、外国の使者と謁見した部屋、政治犯を収容する牢獄などがありました。「ライオンの口」と呼ばれる投函口から密告書が入れられたというエピソードも残っています。宮殿の表と裏の顔が同じ場所にあった歴史の深さに、訪れる人は心を揺さぶられます。

宮殿内部の見どころの一つは、中庭の奥にある黄金の階段です。16世紀中頃にヴェネツィア中の芸術家によって作られたとされ、24金の金箔、漆喰、フレスコ画で装飾されています。階段を上がると、ヴェネツィア共和国の最高議決機関の場であった大評議の間があります。そこには、ティントレットの傑作天国が飾られています。縦7メートル、幅22メートルの巨大な画面は、当時のヴェネツィアの繁栄と権威を伝えています。

ドゥカーレ宮殿の見どころは、運河を隔てた牢獄と宮殿を繋ぐため息橋です。囚人が独房へ入る前にこの橋から見たヴェネツィアの景色にため息をついたことが由来で、19世紀の詩人ジョージ・バイロンが名付けました。宮殿の華やかさと牢獄の暗さを繋ぐ象徴的な存在です。宮殿内部には、ティツィアーノやヴェロネーゼなどヴェネツィア派の画家たちによる豪華な天井画や壁画が施され、芸術の宝庫となっています。中心の中庭は華やかな装飾で、16世紀の青銅の鋳物でできた井戸など細部に美しさが光ります。ため息橋や数々の芸術作品を通して、ヴェネツィア共和国の黄金時代の栄華を感じてください。

ヴェネツィアのサン・ポーロ地区にあるアトリエ・ラ・バウタは、歴史ある仮面と衣装の工房です。カーニバルの伝統を伝えるこのアトリエでは、職人「マスカレリ」が、中世の階級社会で生まれた匿名性を重視した仮面文化を守り続けています。
特に、15～16世紀から日常的に使われたBauta（バウタ）は、白い仮面、黒いマント、三角帽子の組み合わせで、18世紀には貴族に人気がありました。顔全体を覆いながら口元が突き出ているため、仮面をつけたまま食べたり飲んだりできる実用性も特徴です。

アトリエ・ラ・バウタでは、紙粘土（パピエ・マシェ）を使った手作りの仮面や衣装を販売しています。
一つとして同じものはない、職人さんの情熱がこもった作品ばかりです。

また、歴史的なコスチュームのレンタルや、自分で仮面作りに挑戦できるワークショップも開催しています。人気なのは、顔全体を覆うシンプルな白い仮面Volto（ヴォルト）やLarva（ラルヴァ）。無表情なデザインがミステリアスな雰囲気を演出します。

アトリエには、個性豊かなヴェネツィアの仮面が並んでいます。
長い鳥のくちばしを持つMedico Della Peste（メーディコ・デッラ・ペステ）は、ペスト流行時代に感染を防ぐために使われ、くちばしには薬草が詰められていました。
今では「悪病から身を守る」意味が込められています。

女性用の小さく黒いMoretta（モレッタ）は、裏側の突起を口で咥えて装着するため、喋ることができず、神秘的な魅力があります。
顔の半分だけを飾るColombina（コロンビーナ）は、演劇の登場人物に由来し、美しい顔を隠しすぎないハーフマスクで、金銀や羽毛で華やかに装飾されています。ヴェネツィアの歴史と文化を感じられる、個性豊かな仮面に出会えるお店です。

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