2025年11月21日放送の【ザワつく！金曜日】松任谷由実さんがゲストで紹介した、抹茶ババロアのお店は神楽坂『紀の善』です。

紀の善は江戸末期の1860年に創業した老舗で、甘味処としては1948年から営業してきた歴史あるお店です。

東京・神楽坂の飯田橋駅から徒歩数分の場所にあり、2022年9月に一度惜しまれつつ閉店しましたが、多くのファンの声に応える形で2025年7月18日に同じ神楽坂の地で再オープンを果たしました。
創業から160年以上という長い歴史の中で、薬草店として始まり、明治維新後は寿司店へと姿を変え、そして戦後の焼け野原から甘味処として再出発するという波乱に満ちた歩みを重ねてきました。
今回の復活では、25年以上紀の善で製餡を担当してきた職人が伝統の味を受け継ぎ、原材料や機材、製法に至るまで当時を忠実に再現しています。

このお店の最大の魅力は、毎日店内で丁寧に炊き上げられる自家製のあんこにあります。先代の女将が口癖のように語っていた「あんこいのち」という言葉通り、素材選びから仕上がりまで一切の妥協がありません。
つぶあんには大粒で風味豊かな丹波大納言小豆を、こしあんには小豆本来の糖分をじっくりと蓄えた十勝小豆を使用し、美しい藤色に仕上がったあんこは甘ったるくなく、ふくよかですっきりとした味わいが特徴です。また、国産の天草から手作りする寒天も風味豊かで、素材一つひとつにこだわりが感じられます。

紀の善を語る上で欠かせないのが、看板商品の抹茶ババロアです。1990年頃、店舗の建て替えで1年間休業した際に、当時の女将である冨田恵子さんが考案したこの一品は、2001年に豊川悦司さんと中山美穂さん主演のテレビドラマに登場したことをきっかけに人気に火がつきました。
濃厚な抹茶の風味となめらかな口当たりが特徴で、甘さ控えめに仕上げたババロアに、上品なつぶあんと柔らかな生クリームが添えられています。口に入れた瞬間に広がる抹茶の香りと旨味、そしてそれぞれの要素が織りなす絶妙なハーモニーは、まさに紀の善を象徴する一品です。

もう一つの人気メニューがあんみつです。清らかな透明感のある寒天に、なめらかで舌にすっと馴染むこしあん、もちもちの求肥、そして缶詰の果物が組み合わされた王道の一品で、すっきりとした黒蜜をかけていただきます。
製餡主任が毎日の湿度に合わせて水分量を調整するという繊細な仕事ぶりが、紀の善のあんみつを唯一無二のものにしています。

また、ふっくらと大ぶりのカリフォルニア産高級あんずを使った杏あんみつは常連客に特に人気があり、ジューシーなあんずの食感とこしあんの相性が絶品です。乃木坂46の楽曲にも登場したクリームあんみつに白玉を2個追加したメニューは、新店舗ではレギュラーメニューとして提供されています。

夏季限定の冷やし白玉や冷やしじるこ、そして各種かき氷も見逃せません。白玉粉100%で作られる大粒の白玉は、プリッとした歯触りとコシのある食感が魅力で、マスカット風味のすっきりとした白蜜との組み合わせは上品そのものです。

石原良純・長嶋一茂・高嶋ちさ子・高橋茂雄・松任谷由実