【人生の楽園】りんご農家のパン・アップルパイ『もりぱん』青森県八戸のお店情報

2025年12月6日放送の【人生の楽園】故郷を元気に りんご農家のパンで紹介した、青森県八戸のパン屋さんは『もりぱん』です

『もりぱん』は、2025年4月18日に青森県八戸市諏訪の新井田川沿いにオープンしたパン店です。
八戸市南郷地区で農家を営む岩織悠紀子さんが出店したお店で、自然豊かな南郷の森の近くにある自宅工房でパンを焼いていることから、「森」と「パン」を組み合わせて名付けられました。

岩織さんは結婚後に趣味でパン作りを始め、2011年7月に八戸の名物である全長約800メートル、約300店舗がひしめく館鼻岸壁朝市に「森のおかしやさん」の店名で出店したのが始まりです。

その後2018年には南郷商工会からの声かけで道の駅なんごうの売店でも販売を開始しました。館鼻岸壁朝市が冬季に休止することや、八戸市内での販売を求める声が多かったことから、ついに直営店舗をオープンさせることになったのです。

お店では家族が南郷地区で生産したブルーベリーや紅玉などの新鮮な果物、野菜を使った無添加のパンを提供しています。
お店は16坪の広さで、テーブルとカウンター合わせて11席のイートインスペースを備えており、店長の長根郁代さんが「厚切りのパンを食べるのがおすすめ」と話すように、ゆっくりパンを味わえる空間になっています。

南郷産の新鮮な野菜や果物を使ったやさしい味わいのパンは、添加物を使わない体にやさしい製法にこだわっているため、小さなお子さんにも安心して食べさせられると評判です。
これまでに約200種類ものパンが考案され、その中から日替わりで約30種類が店頭に並びます。

人気メニューの筆頭はブルーベリーデニッシュです。これは家族が生産したブルーベリーをたっぷり使った一品で、農家ならではのフルーツの盛りの良さが自慢です。

同じく家族が育てた紅玉を使った紅玉とクリームチーズのデニッシュも人気で、りんごの酸味とクリームチーズのコクが絶妙に調和しています。

岩織さんがおすすめする看板メニューがもっちり食パンのトーストセットです。
ふんわりもっちりとした食感の食パンを厚切りにして焼き上げたトーストに、3種類のジャムから選べるものを添えて、ドリンクと一緒にいただくことができます。

総菜パンも充実しており、工房で作ったキーマカレーを包んで焼き上げた焼きカレーパンは香ばしい焼き色とスパイシーな風味が楽しめる一品です。

また、ピザトーストもあり、こちらはボリュームたっぷりで軽食にぴったりです。

夏には天然シロップを使ったかき氷も登場し、季節ごとに八戸の旬の美味しさを届けています。営業時間は11時から18時まで、定休日は日曜日、月曜日、祝日となっています。

岩織さんがパン作りを始めたストーリー
青森県八戸市出身の悠紀子さんは、岩手県の短期大学で栄養学を学び、岩手で就職しました。
その後八戸市に戻りましたが、交通事故に遭い両足を骨折してしまいます。そんな中、リハビリを担当することになった理学療法士が、夫の好信さん(51歳)だったのです。
2人はリハビリを通して交際をスタートさせ、悠紀子さんの怪我が完治した2005年6月に結婚しました。その後、4人の子どもが生まれ、悠紀子さんは子育てをしながら、好信さんの家業である果樹園を手伝います。
リンゴのおいしさに驚いた悠紀子さんは、そのリンゴを使ってアップルパイを作り、家族やご近所さんに振舞ったところ大絶賛でした。みんなの喜ぶ姿を見た悠紀子さんは、本格的にお菓子やパン作りを学ぼうと決意し、月に1回、東京の製菓教室へ通い始めました。
しかし、最後の授業の前日に東日本大震災が発生。悠紀子さんの実家も津波の被害に遭い、変わり果てた故郷を目の当たりにしました。そんな八戸市で復興のシンボルとなったのが「館鼻岸壁朝市」です。震災からわずか4か月で朝市が再開したのを聞いた悠紀子さんは「故郷の八戸を元気にするお手伝いがしたい！」と思い立ち、朝市で初めて自家製パンの販売を始めました。
フルーツたっぷりのパンは次第に評判を呼び、道の駅からも出店依頼が舞い込んだのです。そんな悠紀子さんをそばで見ていた好信さんも、妻を支えるために理学療法士を辞めて自宅近くの直売所へ転職し、悠紀子さんを後押ししてきました。

菊池桃子・小木逸平