【日曜マイチョイス】勝浦式担々麺の元祖『江ざわ』のお店情報〔石原良純・柳沢慎吾〕

初代店主の江澤勉さんが中国で食べた辛い担々麺に感激し、芝麻醤が手に入らない中で自家製ラー油と玉ねぎの甘味を活かした独自の味を考案しました。海女さんや漁師さんの冷えた体を温めるラーメンとして誕生し、口コミで広がって勝浦市全体に浸透していったという興味深い歴史があります。現在は三代目の江澤正紀さんが継承し、2013年に現在の勝浦市白井久保に移転してからも変わらぬ味を守り続けています。

このお店だけの特徴として、看板に掲げる「坦々麺」の文字があります。通常は「担々麺」と書きますが、江ざわでは敢えて土偏の「坦」の字を使用しています。これは地域に根付くという意味を込めて、土偏にしたという経緯があり、創業者のこだわりを感じさせます。また、勝浦タンタンメンの名称は地域団体商標として正式に登録されており、2015年には青森県十和田市で開催された第10回B-1グランプリで「熱血勝浦タンタンメン船団」がゴールドグランプリを受賞し、全国的な知名度を確立しました。

お店で一番人気の上担々麺は、基本の担々麺に挽肉を増量したメニューです。鶏ガラ・豚ゲンコツ・魚介から取ったダシと自家製タレをブレンドした醤油ベースのスープに、真っ赤な自家製ラー油が表面を覆い、見た目のインパクトも抜群です。炒めた玉ねぎの甘味が辛さをマイルドにし、後を引く美味しさを生み出しています。辛さは控えめから大辛まで5段階から選べるため、辛いものが苦手な方でも安心して楽しめます。細麺のストレートが使用され、歯応えのある食感も魅力の一つです。

その他の名物料理として、冬季限定のもつ担々麺は9月になると常連客から「今年はいつ始まるの？」という問い合わせが多数寄せられる人気メニューです。店主の家で昔から食べられていたもつ煮をベースにしており、こだわりのいすみ豚のモツから甘味のある脂がスープに溶け出し、担々麺の刺激的な辛さを程よくマイルドにしています。夏季限定の冷やし担々麺も評判が高く、暑い季節でも勝浦タンタンメンを楽しめる一品として親しまれています。また、辛くないタンメンやカレーライスなどのご飯ものも用意されており、子供連れの家族でも気軽に利用できる配慮が行き届いています。お店は勝浦駅から国道297号線を約6.4キロメートル進んだ山間部にあり、立地的には不便な場所ですが、平日・休日を問わず行列ができる千葉県屈指の人気店として多くのファンに愛され続けています。

阿川佐和子・飯尾和樹・ずん・石原良純・柳沢慎吾