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元祖冷やし中華「揚子江菜館(ヨウスコウサイカン)」
創業者の周所橋氏は、魯迅や周恩来を生んだ町としても知られる中国・寧波の出身で、最初は西神田で「支那そば」の看板を掲げて店を開きました。のちに店名を改め、その年を創業の年としています。
面倒見のよい人柄で、お金のない留学生には食事代をある時払いにしてあげたといいます。
神田中華組合の初代会長も務め、この界隈に中華料理店が増えていく礎を築いた人物です。震災後の昭和初期に現在のすずらん通りへ移り、京劇の化粧を施したお面のシンボルは、今も登録商標として受け継がれています。
いまは四代目の沈松偉さんが暖簾を守り、池波正太郎をはじめ多くの文豪や著名人に愛されてきました。
出版社が多い神保町では、ここで後輩をもてなせれば一人前、と語られるほどの店です。建物は5階建てで、1階から3階が通常の客席、4階と5階は宴会席になっています。
お店の名物は、1933年に二代目の周子儀が考案した五色涼拌麺です。中国の涼拌麺と日本のざる蕎麦をヒントに、2年ほどかけて完成させた冷やし中華の元祖として知られています。
高く盛られた麺は、昭和初期に店から見えた富士山の姿。春の大地をチャーシュー、夏をきゅうり、秋の落ち葉を筍、冬の雪を糸寒天で表し、山頂にかかる雲は錦糸卵です。その下には鶏だんごとうずら卵が隠れていて、溶岩や雪を思わせる凝りようです。
甘酢のたれは、砂糖、しょうゆ、酢、鶏がらスープというシンプルな材料ながら、配分と入れる順番に秘伝があるのが特徴です。
200回以上の試作を重ねて生まれた味で、冷蔵庫のない時代に考えられたため、今も麺を冷やさず常温で出しています。
ストレートの細い玉子麺にたれがよくからみ、ほのかな八角の香りが本格中華らしさを添えます。
人気の商品は上海式肉焼きそば。
池波正太郎が愛した一皿として知られる名物です。麺は冷やし中華と同じ細い玉子麺で、ゆでたあとに2時間ほど寝かせて下味をつけ、注文が入ってから再び火を通して仕上げます。
ところどころに香ばしい焼き面ができ、パリッとした食感が楽しめるのが魅力です。豚肉やもやし、玉ねぎ、きくらげをのせた素朴な醤油味で、ラードの風味がふんわりと重なります。麺は柔らかいものと硬いものから選べ、硬い麺を選ぶと、とろみのついたあんかけになります。
もうひとつの人気は古老肉。
「すぶた」の名で親しまれる甘酢の肉料理で、もとは切り落としや熟成の進んだ肉に濃い味をつけたことから、この字が当てられたそうです。こちらでは良質な肉を使い、切り方を工夫して柔らかく仕上げています。大きめに切ったきゅうりや長ねぎ、筍に加え、さつまいもを入れるのはこの店ならではの工夫です。
カニ玉は、1900年前後から変わらないレシピで作られる一品です。筍と椎茸を少し混ぜた卵にごく薄く下味をつけ、炒めすぎても足りなくてもいけないため、熟練の職人が絶妙な柔らかさに仕上げます。甘酢だれの固さやかけ方にも気を配った、昔ながらの味わいです。
乾隆麻辣鶏は、長寿で知られた清の乾隆帝が毎日のように食べていたと伝わる、鶏肉ともやしの取り合わせから着想を得た店ならではの一品です。ピリッと辛みがきいて、シャキシャキのもやしとやわらかな鶏肉の食感が楽しめます。体をいたわりたい日のお昼にもぴったりです。
- 老舗中華料理店の名物冷やし中華
- 神保町の明治39年創業の老舗中華
- 昭和8年誕生した元祖冷やし中華
| 住所 | 東京都千代田区神田神保町1-11-3 |
|---|---|
| 電話 | 03-3291-0218 |
昭和レトロ喫茶の本格コーヒー「神田伯剌西爾(カンダブラジル)」
古書店が並ぶ通りから一本入り、小宮山書店の脇道を進むと、「ぶらじる」と書かれた白い暖簾が見えてきます。
お店があるのは、その先の階段を下りた書店ビルの地下1階。開店から50年以上、この場所で本の街の人々を迎え続けてきました。
名物は、昔ながらの直火式焙煎機で焙煎する珈琲です。各産地から選び抜いた高品質の生豆だけを使い、煎りたて、挽きたて、淹れたての味を届けることを大切にしています。
ペーパードリップで1杯ずつ丁寧に淹れ、豆の煎り具合に合わせてお湯の温度まで調整するのがこだわりです。たとえば深煎りの豆は、80〜85℃ほどの低めの温度で落として、苦みをまろやかに整えるといいます。
店内は古民家をイメージした造りで、囲炉裏席や民芸品、絵画が並び、喫茶店というより和食のお店のような趣です。内装は開店当時の雰囲気を保っているそうで、喫煙できる部屋と禁煙の部屋に分かれています。焙煎した豆は店頭で量り売りもしているので、お土産に持ち帰る楽しみもあります。
人気の商品は神田ぶれんど。
5種類の深煎り豆をブレンドした、開店以来の看板コーヒーです。濃さと苦みの奥にほのかな甘みがあり、飲み終えたあとも余韻が続くのが魅力。苦いコーヒーが好きな方にぴったりの一杯と、店長も太鼓判を押しています。
甘いものなら、まず珈琲ゼリー。
アイスコーヒー用の「冷しぶれんど」とゼラチンだけで作り、ゼリー自体には砂糖を加えていません。甘みは別添えのシロップで自分好みに調整するスタイルで、まるで食べる冷しぶれんどのような味わいです。ふんわりのった生クリームが、ほろ苦さをやさしく包みます。
チーズケーキは、レアとベイクドの2種類。
どちらも毎日お店で手作りされています。甘さは控えめで、コーヒーと一緒に味わうことを想定したバランス。深煎りの神田ぶれんどや、モカをベースにした「仏蘭西ぶれんど」の苦みとよく合います。
もうひとつの人気はマンデリン アチェ。
数種類ある産地別のストレートコーヒーの中でも、苦みとコクがはっきりした個性派です。ブレンドで満足したら、次はお気に入りの産地探しを楽しんでみてください。
- 昭和レトロ喫茶の本格コーヒー
- 1972年に神保町で開店
- 自家焙煎珈琲にこだわった神保町の老舗喫茶店
| 住所 | 東京都千代田区神田神保町1-7 小宮山ビル B1F |
|---|---|
| 電話 | 03-3291-2013 |
愛好家が集まるウクレレ店「タンタンお茶の水店」
店内には、新品からヴィンテージまで、常時200本から300本ものウクレレが並びます。
国内でも屈指の規模を誇る品揃えで、スタッフがウクレレに興味を持ったきっかけや弾きたい曲などを丁寧に聞き、一人ひとりに合った楽器を提案してくれます。初めてウクレレを手にする方も相談しやすい雰囲気です。
お店では、楽器が良好な状態を保てるよう、店内の湿度を常に50%に保っています。インテリアにも工夫を凝らし、ウクレレ愛好家がくつろげる開放的な空間に。じっくり試奏しながら、お気に入りの一本を探せます。購入後のサポートも充実しており、初心者向けのレッスンを定期的に開催するほか、ウクレレのリペアも受け付けています。オンラインストアでの通信販売にも力を入れており、1万円以上の商品には購入金額分の運送保険を付けて発送しています。
お店の主力商品の一つは、台湾のハンドメイドウクレレMillar パイナップルシリーズ。美しい木目と温かい音色が特徴です。
人気のUmaウクレレも入荷。木のぬくもりを感じられるEnyaのアカシアコアの単板シリーズも魅力的な商品の一つです。
春には、Headway SAKURAウクレレのような季節限定モデルが並ぶことも。ウクレレ本体だけでなく、関連グッズも豊富に取り揃えています。
絶滅メディア博物館
2020年に「絶滅ガジェット博物館」として始まり、2023年1月、現在の場所に「絶滅メディア博物館」として正式にオープンしました。
館長の川井拓也さんは映像ディレクター。仕事を通して、紙と石以外の記録媒体は、いつか必ず「絶滅」するという考えを持ったことが博物館設立につながったそうです。
2019年にはSNSを通じて古い機器の寄贈を呼びかけ、現在では約1500点の収蔵品が展示されています。そのうち8割は寄贈されたものです。
お店ではなく、博物館ならではの特徴は、展示品の多くに実際に触れたり、写真や動画を撮ったりできること。機器の重みや素材の質感を感じられるほか、フィルムカメラのファインダーを覗くこともできます。かつて使っていた携帯電話やウォークマンを見つけ、学生時代の記憶を思い出す来館者も多いそうです。
展示の中でも特に力を入れているのが、家庭用動画カメラの移り変わりです。8ミリフィルムカメラから、ベータマックス、VHS、8ミリビデオ、そしてDVカメラへ。映像を記録する技術が、どのように発展してきたのかを一目で見ることができます。
- 絶滅メディアの宝庫でタイムスリップ
All media other than paper and stone will become extinct. 紙と石以外のメディアはすべて絶滅する…
extinct-media-museum.blog.jp
| 住所 | 東京都千代田区内神田2丁目3−6 楓ビル 1階 |
|---|---|
| 電話 | 03-5256-5700 |
スパイス香る絶品ビリヤニ「ビリヤニ大澤」
カレーの街として知られる神保町にほど近い、ビジネス街の一角にあるビルの地下にひっそりと店を構えています。
店主の大澤孝将さんは1989年に長野県で生まれ、大学卒業後に旅先で訪れた南インドで、初めてビリヤニという料理に出会いました。あまりのおいしさに衝撃を受け、滞在中は毎日食べ歩きを続けたといいます。
帰国後、日本では本場のような一皿になかなか出会えなかったことから、店を貸し切ってビリヤニを作ってもらう会をSNSで呼びかけるようになり、やがて自分でも調理を始めます。
経堂のインド料理店「ガラムマサラ」で経験を積みながら、間借り営業や、ビリヤニ好きが集まるシェアハウス「ビリヤニハウス」の運営など、さまざまな形でビリヤニと向き合ってきました。
お店の名物は、炊き上がりの時間に合わせて客が一斉に食事を始める、完全予約制のスタイル。
予約は毎日、7日後の枠が公開されるしくみで、大鍋でまとめて炊いたほうがおいしくなるというビリヤニの性質を、営業の形そのものに落とし込んでいます。
提供するビリヤニは曜日ごとに1種類のみと極端に絞り込み、調理工程は科学的な視点で分析しながら、温度と時間を徹底的に管理。米は粒立ちと香りに優れたバスマティライスを選び、スパイスは自ら調合しています。
器も、手で食べる人には平皿、スプーンを使う人には深めの皿と使い分け、スプーンは味に影響しにくいホーロー製にこだわるなど、細部まで気を配っているのが特徴です。この姿勢が評価され、ミシュランガイド東京2026では価格以上の満足感が得られる店に贈られるビブグルマンに初めて選ばれました。
一番人気はマトンビリヤニ。
骨付きのマトンをコンフィのようにじっくり下煮して旨みとコラーゲンを閉じ込め、揚げた玉ねぎと自家調合のスパイスを合わせたベースに、茹でた米を重ねて炊き上げます。
ふたを開けた瞬間に立ち上る湯気とともに、口に入れるとバスマティライスがふわりとほどけ、そのあとにスパイスの香りとマトンのコクが追いかけてくる構成です。
白と黄色が溶け合うグラデーションのように盛られているため、すくう場所によって味わいが変わるのも楽しみのひとつになっています。
もうひとつの定番はチキンビリヤニ。
スペインから空輸した丸鶏を使い、フレッシュなミントとアムチュールの酸味、レッドチリの辛みを効かせた爽やかな一皿です。
鶏肉ならではのやさしい旨みを損なわないように仕立てながら、酸味と辛さはしっかりと立たせているため、マトンとはまた違う軽やかな印象で食べ進められます。
季節限定で登場する上海蟹ビリヤニも見逃せません。
殻付きの上海蟹をそのまま炊き込み、タマリンドの酸味とココナッツミルクのまろやかさを重ねたグレービーに、マスタードとターメリックで奥行きを加えています。
食べるのに少し手間はかかるものの、蟹の濃厚な甘みがスパイスと絡み合う贅沢な味わいで、仕入れがある時期だけの特別な出会いといえるでしょう。ビリヤニのお供には、マイナス1度近くまで冷やしたコーラが欠かせません。スパイスの刺激をすっと洗い流してくれる冷たい炭酸が、次のひと口への呼び水になり、あっという間に器を空にしてしまいます。
スパイス香る絶品ビリヤニ「BIRYANI MASTER(ビリヤニマスター)」
BIRYANI MASTERは、神田・小川町に2026年5月に誕生したビリヤニ専門店。
手掛けるのは、完全予約制の「ビリヤニ大澤」で知られる大澤孝将さん。
大澤さんとビリヤニの出会いは、インドを訪れた際に食べた一皿。
その味に衝撃を受け、インド料理店で経験を積みながら研究を続け、間借り営業やビリヤニを囲むシェアハウスまで立ち上げるほど深くのめり込んでいきます。
2021年8月に「ビリヤニ大澤」を開店。その店はミシュランガイドにも掲載され、そこで培った技術をもっと日常の食事へ広げようと生まれたのがBIRYANI MASTERです。
BIRYANI MASTERの大きな特徴は、ビリヤニを「香りの料理」として組み立てていること。
インド産の細長いバスマティライスを使い、米を塩湯で茹でて余分なでんぷんを落とす「湯とり法」をベースに、具材と米を重ねて密閉しながら炊き上げます。
鍋の中に蒸気を満たし、香りを逃さず米にまとわせることで、ふたを開けた瞬間からスパイスの芳香が立ち上る仕上がりを目指しています。
さらに、炊き上がった米を均一に混ぜすぎないのもポイント。
白っぽい米、スパイスや肉汁を濃くまとった米をあえてまだらに残すため、ひと口目と次のひと口では香りや濃さが少しずつ変化します。
人気の商品はチキンビリヤニ。
鶏モモ肉を約10種類のスパイスとニンニク、ショウガで一晩マリネし、炊く前にはヨーグルトも加えてなじませます。
鍋の底に鶏肉を敷き、その上へ茹でたバスマティライスを重ね、サフランミルクとギーを加えて蒸し炊きにする、肉のうまみを米へ移していく一皿。
細長い米はふわりとほどけながらも粒立ちがよく、口へ運ぶと最初にスパイスの香り、そのあとを追うように鶏肉のコクが広がります。
ヨーグルトの穏やかな酸味も重なり、濃厚一辺倒にならない軽やかさが魅力。
もうひとつの名物はマトンビリヤニ。
ギーにベイリーフやシナモン、クミン、クローブ、カルダモンなどのスパイスを加え、油へしっかり香りを移してから炊き上げます。
マトンショルダーは約4時間かけて煮込まれ、口に含むとほろりとほどける柔らかさ。
羊肉らしい深いうまみをバスマティライスが吸い込み、チキンよりも力強く、余韻の長い味わいに仕上がっています。
日替わりビリヤニもあり、魚介を中心に、その日の食材に合わせて組み立てを変えるメニューで、赤エビを使った一例では、マスタードシードやガラムマサラ、コリアンダーなどの香りを油に移し、エビのうまみを重ねています。
トマトとヨーグルトのコクも加わり、エビの濃い香りとバスマティライスの軽い食感が交互に現れる、定番2種とはまた違った表情です。
- 大澤孝将シェフ監修
- 弾けるスパイスの香り鶏肉の旨味があふれる一品
| 住所 | 東京都千代田区神田司町2-15-16 サトウビル 2F |
|---|---|
| 電話 | 不明の為情報お待ちしております |
[記事公開日]
この記事の作者・監修
Activi TV
こんにちは!食べることが大好きなグルメライター・料理愛好家のActivi TVです。料理の世界に魅了され、様々な料理の作り方や味を探求する日々を送っています。各地で出会った料理から、私は常に新しいインスピレーションを受けています。料理は文化であり、人々をつなぎ、温かい気持ちにさせる素晴らしい手段だと信じています。私の記事を通じて、読者の皆さんも新しい味と出会い、楽しい食体験をしていただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします!
