2025年11月13日放送の【有吉の深掘り大調査】厨房ドキュメントで紹介した、創業120年の蕎麦・厨房ドキュメントのお店は『丸花』です。

蕎麦処 丸花は、明治初頭の創業から120年以上もの長きにわたって、錦糸町の地で営みを続けている老舗のお蕎麦屋さんです。JR総武線と東京メトロ半蔵門線の錦糸町駅から歩いて4分ほどのところに店を構えています。
創業時、武士の階級がなくなった川越武士だったご先祖が蕎麦屋の職業を選んだことが始まりと伝えられていて、東京大空襲で創業当時の記録は失われてしまいましたが、その味と歴史は代々受け継がれてきました。現在は5代目の店主が、4代目とともにお店を切り盛りしています。

海老名香葉子さんの児童文学作品『うしろの正面だあれ』にもこのお店の名前が登場するなど、地域に深く根ざした歴史を持っています。終戦から1、2年ほど経った頃、当時の地主さんが祖父の生存を確認できず土地を他の方に貸してしまったため、近くに新たに土地を借りて現在の場所に店を開いたそうです。店名の由来は「蕎麦の花が丸く見えたこと」から名付けられたと言い伝えられています。

蕎麦処 丸花が代々守り続けているのは、毎朝の蕎麦打ちです。手打ちではなく、50年以上活躍している蕎麦打ち機を使って製麺を行うのが丸花流。水回しの工程では、見た目よりも音で上げのタイミングを判断するという職人技が光ります。北海道産を中心とした蕎麦粉を季節や状態に合わせて厳選し、粉屋さんと相談しながら他の産地の蕎麦粉を混ぜることもあるそうです。蕎麦粉と割り粉は7対3の比率で混ぜ合わせ、コシとツヤのある麺に仕上げています。

蕎麦屋ならではの独特な文化もこのお店には息づいています。お客さまを迎える際には「いらっしゃいませ」ではなく、蕎麦の麺とかけて「しゃ」を伸ばして「いらっしゃ〜い」と声をかけます。注文を厨房に通す際も、同じテーブルのお客さまにベストな状態でお出しできるよう「盛りつき3杯のたぬき」といった独特な言い回しを使っています。釜前の仕事は「一生」と言われるほど繊細で、朝一番に打った蕎麦と夜の熟成された蕎麦では茹で時間が何秒も変わってくるため、ずっと見守り続ける必要があるそうです。

人気のメニューとして名高いのがカツ丼セットです。ヒレカツ2枚を蕎麦の本返しと出汁を混ぜたタレで煮込み、トロトロの卵で包んだ一品に、ミニサイズの蕎麦(温・冷選択可)、味噌汁、サラダ、ポテトサラダ、お漬物が付いてきます。
甘く芳醇な香りが漂うカツ丼は昔ながらのしっかりした甘い味付けながら、不思議と重すぎることがなく最後まですいすいと食べられます。出前の人気ランキングでも1位を獲得しているこのセットは、ボリューム満点でお腹いっぱいになれる逸品です。

5代目店主がおすすめするのはカレー南蛮です。蕎麦つゆの味が効いた甘口の和風カレーで、手作りならではの深い味わいが楽しめます。

ほかにもあじさいという、小エビ天が3つ乗った冷やしサラダそばが人気で、麺つゆと自家製のゴマダレの2種類のタレで味の変化を楽しめます。野菜もたっぷり摂れるヘルシーな一品です。

三味そばは、とろろ・きつね・大根おろしの3種類の味わいを一度に食べ比べできる贅沢なメニューで、蕎麦の旨みをストレートに味わえます。

このほかにもミックス丼セットは、玉子丼・親子丼・かつ丼が全部入った贅沢な丼にミニそば、サラダ、小鉢が付いてきます。

天ざるは、冷たいざる蕎麦とサクサクの天ぷらの組み合わせが定番で、天ぷらは別皿で出されるため蕎麦つゆが汚れないという心遣いも嬉しいところです。

かき揚げは貝柱などが入った揚げたてのサクサク食感で、野菜と貝柱の旨みが広がります。大根おろしと生姜を加えて食べるのもおすすめです。
奥久慈卵を使った各種丼ものや、お酒のつまみになる一品料理も充実していて、昼間から蕎麦屋で一杯やってから〆に蕎麦をいただく、という粋な楽しみ方もできます。

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